1 大田区議会は第一回定例会で、私たちが提出した「新空港線三セク会社の鉄道認可申請に係る事業計画の区議会と区民への説明を求める陳情」を多数で「継続審査」とした。

2 この計画にはかねてから、利便性や採算性と区財政リスク、経済効果などで疑問や懸念、反対の声が数多く上がっている。区と東京都が都区負担割合を合意するに至った文書や資料への区民の疑問の声に十分根拠がある。最近、都の担当課は「事業費は他の地下鉄建設費より割高であり、説明責任がある」と述べ、国の担当課は「合意形成をすすめるべきとした答申はJRアクセス線との競合は審議されていない」「今後、審査の対象となる」と明言している。

3 これら都区合意の資料への疑問の声や都と国の担当課の表明などは、認可手続きに重大な影響を及ぼすものである。したがって陳情が求めたのは、事業計画書の提出でなく、その前提となる利便性、採算性と区財政リスク、経済効果などの重要事項の説明である。

4 区議会の多数が陳情を「継続審査」とした理由は、「すでに説明している」「区が説明できる段階ではない」「大きな動きはない」などであるが、いずれも事態を正確に把握しているとは言えない。一方、陳情の審査に際し区の担当課は「事業計画を適宜適切に報告する」と述べている。区議会がその報告を速やかに求め、継続審査とした陳情の再審査を求める。

5 この計画は言うまでもなく、今後の区民生活に重大な影響をもたらすとともに、その進展は地方自治のあり方が問われることになる。区議会が区民の声を行政に十分に届け、行政への監視機能を存分に発揮することを切に求める。

2024年2月2日
大田区議会議長 押見隆太 様

新空港線(蒲蒲線)計画着工見合わせ署名をすすめる会

(陳情の趣旨)
1 大田区が区議会に、総務省「第三セクター等の経営健全化等に関する指針」に沿い、新空港線(蒲蒲線)の第三セクター会社である羽田エアポートライン(株)の鉄道事業認可申請に係る利便性、事業費、需要と採算性などの事業計画を提出し、説明すること。
2 区民と鉄道利用者に同事業計画の分かりやすい説明資料を作成し、公開すること。
(陳情の理由)
○都区協議の資料で明らかになったこと
新空港線(蒲蒲線)計画について、交通政策審議会答申第198号にもとづき東京都と区が協議し地方負担分の負担割合を合意したとして、第三セクター会社が設立されました。
その協議資料によると、利便性の欠如、割高な事業費、不明瞭な採算性、資金収支赤字の補助金による補てん可能性など多くの問題があり、各方面からも指摘されています。
一方、大田区は「羽田空港と都心を直結」「京急空港線に乗り入れる」と区民に説明しながら、「今後、整備主体となる羽田エアポートライン株式会社が関係者との協議の後に詳細な事業計画を示す」として、第二期工事を含めた全体計画の説明をしていません。
○総務省のガイドラインが何を求めているか
総務省は地方自治体に対し、第三セクターの経営悪化により多額の負担を負うことがないようにと、前記「指針」で「議会・住民とも連携した適切な指導・監督」と「財政的支援の限定」を求めています。
とくに議会・住民に対しては、地方自治法の議会への報告義務に「加え」、第三セクターの経営指標、地方自治体の財政的支援とそれに伴う財政的なリスク、将来の見通しなどを分かりやすく説明するよう求めています。
そのうえで、財政的リスク回避のための計画の修正、事業からの撤退、第三者機関への評価委託など様々な措置を示しています。
○新空港線三セク会社が作成する事業計画の説明が必要
現在、新空港線三セク会社は国交省への鉄道事業認可手続きを進めています。
区は、総務省の指針に沿うならば、同社による利便性、事業費、需要と採算性、第2期工事の見通しなどの事業計画を適宜把握し、「適切に指導・監督」するため、その作成状況と内容を整理して区議会と区民に説明する必要があります。その際、公共事業は、事業費と需要予測などが当初計画から上下に振れることがあり得ることから、事業計画についての感度分析も不可欠です。
○以上の理由により陳情いたします。